神話街道
神話街道マップ
鹿児島と日本神話
鹿児島は、日本神話の舞台
1300年もの昔に編さんされた古事記、その上巻に日本神話が書かれている。
多くが鹿児島を舞台に繰り広げられていることに驚くだろう。
天照大御神(アマテラスオオミカミ)の孫であるニニギノミコトが初めて地上に降り立った日向(ひむか・かつてひとつのクニだった南九州一帯を指す)の高千穂の峰
コノハナサクヤヒメに一目ぼれして結ばれた笠沙の岬
都を造ったまほろばの川内―。
鹿児島県内の地名が登場し、実際に霧島神宮や鹿児島神宮、新田神社など縁の社も多くある。
鹿児島は、天孫降臨から神武東征に至るまでの、大切な日本神話の舞台なのだ。
神話の世界に思いを馳せ「鹿児島の神話街道」を旅してみよう。
古事記・神話について
古事記・神話って?
天武天皇の命によって1300年前に編さんされた上・中・下の3巻からなる書物。
上巻は、神々がどのようにしてこの世をつくったかという国生みや神生みの話をはじめ
天孫降臨を果たしたニニギノミコトから続くヒコホホデミノミコト(山幸彦)、ウガヤフキアエズノミコトまでの日向三代の壮大な神話が繰り広げられている。
中・下巻は、神の子である初代天皇・神武天皇から始まる国家形成の過程と、それに連なる皇室の歴史を中心に書かれている。
古事記(上巻)に書かれている神話は、どんなストーリー?鹿児島にゆかりのある神さまは?
イザナキ・イザナミは性別を持つ最初の神さま。
初めての子どもは足腰が立たない蛭子(ひるこ)だったので天(あま)つ神に相談すると、「女性が先に声をかけたのがいけない」とのこと。
そこで子づくりの際はイザナキから声をかけるようにしたところ、無事たくさんの神を産むことができた。
黄泉の国を訪れたイザナキが禊(みぞぎ)を行った際にも、次々に神が誕生。
最後に左目を洗うと、太陽に象徴されるアマテラスが、右目からは月に象徴されるツクヨミが、鼻からは海に象徴されるスサノオの尊い三貴神が生まれた。
このように古事記の神話は、日本のなりたちがおもしろいストーリーで繰り広げられる。
その後、太陽に象徴される神・アマテラスは地上を治めるため、孫のニニギノミコトを地上に降臨させた。
その血を引くヒコホホデミノミコト(山幸彦)、ウガヤフキアエズノミコトは初代天皇へ続く日向三代と呼ばれ
鹿児島を舞台に大活躍するのである。
押さえておきたい神話
1.アマテラスの天の岩戸(あまのいわと)隠れ
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神々の国である高天原(たかまのはら)を治めるアマテラスに対して、弟のスサノヲは「死んだ母に会いたい」と泣きじゃくるばかり。
任されたはずの海原の統治を放り出してしまったために
世の中には災いがはびこるようになってしまった。追放されたスサノヲはアマテラスに別れを告げに行くが、攻めてきたと勘違いされ争いが勃発。
誓約(うけい)で神意をうらなって決着したかのように見えたものの、スサノヲの悪戯はとどまるところを知らなかった。
恐れをなしたアマテラスが天の岩戸(あまのいわと)に身を隠すと世の中は真っ暗闇に…。困った神々は天の岩戸の前で宴を開き、アマテラスの気を引く作戦に出た。
アメノウズメが裸で踊るなど盛り上がった宴の様子が気になったアマテラスがほんの少し外をのぞいた瞬間
脇に隠れていたタヂカラオが岩をこじ開けて、この世に光を取り戻すことができた。
2.ニニギノミコトの天孫降臨
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地上を治めるためにアマテラスは、孫のニニギノミコトを高千穂峰に降臨させた。
成長したミコトは、笠沙で美しいコノハナサクヤヒメに一目ぼれし求婚。
喜んだ父親のオオヤマツミはお祝いの品々と共に姉のイワナガヒメも差し出すが、醜い姉は送り返されてしまった。二神の間には子どもができたが
一夜でそうなったことに疑いを持たれたコノハナサクヤヒメは、自分の操を証明するため産屋に火をつけて出産。
そこから安産・子育ての神さまとして信仰されるようになる。
また無事に産まれたホデリ(海幸彦)、ホヲリ・ヒコホホデミノミコト(山幸彦)らのへその緒を切った竹刀は竹屋神社のルーツとなった。その後ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメは、九州三大河川の一つ川内川のほとりで都を造り、農耕を勧めたと伝えられる。
二神は川内の新田神社と可愛山陵のほか、霧島神宮にまつられ今も崇められている。
3.海幸彦と山幸彦
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弟の山幸彦(ホヲリ・ヒコホホデミノミコト)は、兄の海幸彦(ホデリ)に頼み込んでお互いの道具を交換。
すると何も釣れないどころか、兄が大事にしていた釣り針をなくしてしまう。
代わりに自分が大事にしていた剣でたくさんの針を作って差し出したが、兄は「元の釣り針を返せ」と譲らなかった。途方に暮れた山幸彦が、海の神ワタツミの元を訪ね、美しい娘トヨタヒメと出会い結婚。
鯛ののどに刺さっていた針も無事に見つかった。
そして兄に針を返すときには、ワタツミに教えてもらった呪文を唱えると、すさんだ心の兄を懲らしめることができた。トヨタマヒメは出産時、「決して見ないように」と産屋に入った。
気になった山幸彦が中をのぞくとなんと大きなワニ(サメ)の姿になって子どもを産んでいた。
恥ずかしく思ったヒメは出産後、海の国へ帰ってしまう。
このとき生まれたウガヤフキアエズが初代・神武天皇の父だ。