鹿児島神社町 KAGOSHIMA SHRINE AGENCY

御由緒

加紫久利神社は、凡そ2,000年前には既に加紫久利山を御神体山として神籬斎場が設けられ、山岳信仰から始まったと伝えられている。式内社研究会では、文徳天皇仁寿1年6月17日薩摩国加紫久利神官社に列格さると記されている。
さらに、清和天皇貞観2年(860年)3月20日従五位上に、そして、同7年5月25日正五位上に列格されている。

御祭神

主神

  • 天照皇大神・・・主神は伊勢の内宮と同一神であり「天照皇大神」は日の神と尊び仰ぎ「光明」「仁愛」「生命」「救済」「倖せ」の大親神です。

相殿

  • 比売大神(宗像大社の祭神)・・・交通安全の神
  • 住吉大神(住吉大社の祭神)・・・航海、交通の神
  • 八幡大神(宇佐神宮の祭神)・・・安産、子育ての神
  • 伊邪那岐・伊邪那美命・・・生命の祖神、延命長寿の神

摂社

  • 稲荷大神・・・五穀豊穣、商売繁昌、殖産興業の神

庭祭

神社では年間多くの祭典、行事が行われるが、春季大祭には特殊神事である「庭祭」の御儀があり、大変な賑わいを見せる。この祭りは、昔は祈年祭といわれ、又「としごいのまつり」とも称せられ、その年の稲をはじめ穀物が豊かに実るように神に祈る祭である。「庭祭」は境内の一角を斎場として田と見立て、そこに神を招き稲作の手順を演じることによって、豊作を祈る祭りである。神殿での祭典終了後、拝殿前の斎場に宮司以下祭員着座、太鼓の奏楽に合わせて祭詞の奏上がある。

①庭祭・・・祭詞

この苗床庭に、この何を敷くべきか。
この榎木の葉も良し良し
この辰木の葉も良し良し
この椋木の葉も良し良し
この双葉立つ苗に、この三葉成る時よ
この取られぬ苗よ、このかかれぬ苗よ
この植ゆる植ゆる其庭で
この蓑も買うてくうゆよ
この笠も買うてくうゆよ
この蓑も笠も買おてたもるなあらば
この田も苗も植うゆよ
この一丁田の溝口
このせえせる所
この上の瀬は早よて
この下の瀬は鈍ろて
この中の瀬に立とて
このとどろ見て流がれる
この髙かの畠を廻はるに
この夕暮れの千鳥
この洗いは何處で
この堤の表古川

  • 庭祭_祭詞
  • 庭祭_祭詞2

②庭祭・・・牛耕の儀

宮司以下祭員一同の祭詞奏上が終ると「牛耕の儀」となる。この儀、農夫二人で仮面を被った牛を面白くおかしく使役して耕作の所作が行われる。
「あいやー、こいやいかん、もときばってもらわんな」
(あらー、これはだめだ、もっとがんばって耕やしてもらわないと!)
寝そべって動かない牛に困り果てる農夫たち。即興でのそのユーモラスなやり取りに参拝客からどっと笑いが起こります。
最初、笛と太鼓の音とともに道案内役の猿田彦の神が、田の神、仔牛、田起こし牛、畠取りとマンガ(馬鍬)取りの農夫二人を引き連れて現れ、こっけいな掛け合いをしながら斎場を回ります。
斎場を数回廻り、うまく耕作出来たと思われる頃、猿田彦神の先導にて斎場を退場します。

  • 庭祭_牛耕の儀
  • 庭祭_牛耕の儀2

③庭祭・・・散籾の儀

観衆の拍手の中、猿田彦神一行の退場が終ると散籾の儀となる。
御神殿にお供えされた籾を宮司が加紫久利神社の種撒きと発声しながら種籾を斎場に播きます。参拝者は、この種籾を我先にと拾って持ち帰り、自家田に播種し豊作を祈ります。又、農家以外の方は拾って我が家の氏神に、又は神棚にお供えして家内安全・商売繁昌を祈願します。この散籾(うちまき)の儀は天孫降臨の神話での散籾と同じく、世の中を明るく祓い清めるための意もある。この神事は凡そ400年前から行われたと伝えられている。

  • 庭祭_散籾の儀
  • 庭祭_散籾の儀2

この春季大祭には長い参道、並びに公園に九州各県から集まったたくさんの露天が並び、出水郡内はもとより熊本県からも多くの参拝があり終日賑わいを見せる。現在、これを加紫久利初市と呼んでいる。

御田植祭

春季大祭の庭祭が終わると御田植祭へと神事が引き継がれる。
戦後、農地改革で御神田が失われ祭典のみの御田植祭が続けられて来たが、平成16年実行委員会結成。
神社役員を中心に出水市長・出水市議会・JA鹿児島・いずみ農協長(米ノ津事業所)・米ノ津東小学校
(学校長、PTA会長)・地元長老会。二の宮加紫久利会のメンバーに神田委員を委嘱。第1回目の御田植祭
(たんぼ学校)が開設され、平成25年6月10日に第10回目のたんぼ学校、御田植のお祭りも早男、早乙女20名と共に米ノ津東小学校5年生70名全員が奉仕して盛大に行われた。

  • 御田植祭
  • 御田植祭2

祓穂祭 並に掛干し

たんぼ学校として神田委員の協力を得て、米ノ津東小学校5年生70名が全員体験学習する。

  • 祓穂祭
  • 祓穂祭2

脱穀

平成25年度も、10年前に神田委員会を結成されてより、毎年、地元の子供達に地域の伝統、文化を通して自然の尊さと、感謝の心を育むことを目的に、そして命の大切さを教えているたんぼ学校がスタートしてから地元の米ノ津東小学校5年生全員が参加して掛け干された稲の脱穀が神田委員の指導で、古式のままに足踏脱穀機、千歯こぎ、唐箕を使って実施されている。

  • 脱穀
  • 脱穀2