鹿児島神社町 KAGOSHIMA SHRINE AGENCY

  • 大穴持神社
  • 大穴持神社2

霧島市国分広瀬に鎮座する大穴持神社では旧暦3月13日に「まむし除祓祭」が斎行される(平成28年は4月19日)。
神社由緒記によれば、『続日本記』に「此の小村(現在の広瀬地区)には麻を植えることを禁。又蝮(まむし)が生きられず、古来当社よりまむしを除く神符(おまもり)とお守砂が出されているが奇験あり。」とあり、古来より伝わる神符には「日文字(ひもじ)」が用いられており、まむし除けの信仰・風習の歴史を窺い知ることができる。
先代の宮司の口伝によると大己貴命が農道を歩いている時に向こうから犢牛(コッテ牛=雄牛)が突進してきたので麻畑に遁れられたところ、その麻畑にいた蝮に咬まれたとのこと。その為、命が犢牛と麻と蝮を嫌われるので広瀬では犢牛を飼ったり麻を植えたりすると家が栄えないと言われ、昔からこの地域には馬は多数飼われていたが、牛を飼う人は殆どいなかった。またこの集落を中心に天降川と検校川の間には蝮が生息しないといわれている。
御祭神である大己貴命は沢山の名前を持ち、御神徳も多く、現在は広瀬集落の氏神様として崇敬厚く、また古来よりまむし除けの神様として姶良郡内は勿論、鹿児島市・川辺郡・日置郡・薩摩郡・曽於郡・宮崎県都城市方面から信仰厚き方が参拝されている。

御札・お砂
まむし除祓祭の当日には現在も神符とお砂を受けに参拝者が神社を訪れている。
先に述べた先代宮司の口伝にあるように、広瀬地区には蝮が生息していないことから、地元の氏子にはこの祭りはあまり知られておらず、参拝は少ない。一方で広瀬地区以外の集落からの参拝が多く見られる。
古くは参拝者が神社の本殿の床下に勝手に入ってお砂を持ち帰っていたが、大正~昭和初期の時点では御札・御砂が社頭で取り扱われていた。
近年は当日だけでなく祭の前後にも御札・お砂を受けに参拝し、各地域の世話役や代表者が参拝して、集落で必要な数の御札・お砂を受ける形になっている。
しかしながら、現在はまむし除けの信仰も変化し、年々参拝や頒布数の減少が見られる。
まむし除祓祭の当日は午前10時に本殿にて祭典を斎行する。
初穂料 御札400円・お砂700円
宮司 谷口 巖